千尋くん、千尋くん
「もちろん千尋と瑞穂は大事な弟だから、見捨てるつもりとかはないよ。だけど、新婚の家にいるのもあいつらにとって気使わせちゃうと思うし。梓にも、もう少しのんびり過ごしてほしいから、できればあんまり負担をかけるような生活させたくない」
斜め下を見つめながら、真剣にそう話す熾音さん。
あたしは、その言葉を一生懸命頭の中で理解していく。
「そしたらさ、今海外にいる俺らの親がさ千尋と瑞穂をこっち側によこさないかって」
「つまり……千尋くんと瑞穂くんを海外の親の所に、ってこと?」
「うん………でも、詳しくは瑞穂だけ、なんだ」
「それって、どういう……?」
理解できずに首をひねるあたし。