千尋くん、千尋くん






「千尋はあんまり分かりやすく態度に出すやつじゃないから、俺もよく分かんないけど。でも、たったひとつ分かるのは……アイツは今すっげー胸のなかで葛藤してんだと思う」





「………………」




「なんだかんだ言って、アイツは家族を大事にする奴だからさ。兄ちゃんとして、瑞穂に心細い思いをさせたくない。だけど、あるみちゃんを置いていくこともできない。それだけ千尋にとってあるみちゃんは大切な存在であって……」






熾音さんは優しいから、ハッキリとは言ってくれない。




だけど、単刀直入に言うと。






今、千尋くんは、瑞穂くんを選ぶかあたしを選ぶかで心の底から悩んでるということだ。







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