千尋くん、千尋くん
「へくしゅっ……!」
「あちゃー、やっぱまだ寒いか」
体育館に到着したジャージ姿のヒメちゃんと、半袖短パン姿のあたし。
さきほど、ヒメちゃんがロッカーから取り出したのは、未開封の袋に入った夏用ジャージだった。
学校の校章が入った、ワンポイントの白Tと紺色の膝上短パン。
いくら春とはいえ、まだまだ寒いわけで……。
「とっ、鳥肌が……!」
「大丈夫、大丈夫。動いてたら暑くなるって!」
「ほんとかなぁ」
自分の身を抱くようにして、腕をさする。