千尋くん、千尋くん
そして、あたしが向かったのは。
玄関。ではなく、自分の部屋で。
きっと、無意識のうちにあたしの答えは決まっていたんだ。
部屋に続く階段を昇りながら、そう思った。
ドアを開けて、ドレッサーの上に置いてあったソレに手を伸ばす。
分からない、分からないんだ。
もしかしたらこれも無意識なのかもしれない。
だけど、心より先に。
脚が、指先が、身体が決意してる。
あたしだったら……こうするのだと。
その証拠となるソレを握りしめて、あたしはつま先を玄関へと向けるのだった。