千尋くん、千尋くん
体育館に集合してる生徒はまだ半数くらいだが、あたしと同じ格好をしてる人は誰1人いない。
完全なる間違い探しだよ。
ていうか、スカートが少し短いだけでも怒られるのに、こんな姿千尋くんに見られたら……。
そう思ったあたしは、千尋くんに見つかる可能性を少しでも下げようと、すばやくしゃがむが……。
「なんだそれ、ギャグか、ふざけてんのか、頭が空なのか、どれだ」
「ど、どれでもないです……」
時すでに遅し、頭の上から降ってくる暴言の数々。
ジャージ姿の千尋くんが、仁王立ちであたしを見下ろしていた。