千尋くん、千尋くん
「ヒ、ヒメちゃん……あれ?」
なんだかやっぱり千尋くんが怒ってるみたいなので、助けを求めようと顔を上げるが、そこにはさっきまでいたヒメちゃんがいない。
に、逃げられた……!
「ジャージは?」
「きゅ、急に体育になったからなくって……」
「だったら、今の時間体育がない2組か4組の奴らに借りればいいだろ」
「はっ……そういう考え方もあったのか! ていうか、だからみんないきなり体育になったのにジャージ着てるんだね」
なるほど〜と、ちょっと空気を軽くしてみたが、千尋くんの冷めた表情は変わらない。