千尋くん、千尋くん
あぁ、やっぱり持ってきて良かった。
今日の朝、無意識のうちに持ってきていたソレを。
あたしはスカートのポケットから取り出す。
「これも、もう必要ないよね」
シャラリ、と綺麗な音をたてて掴んだソレは。
千尋くんとの初めての記念日にもらった、お揃いのネックレス。
チラリと千尋くんの首もとを見上げると、そこにはちゃんとソレと色違いの石が埋め込まれた同じものが。
あたしといるときは、いつもつけていてくれる。
だけど、あたしはこのネックレスを。