千尋くん、千尋くん
どうして……。
そんな顔されたら、あたしの決心が揺らいでしまう。
本当は、間違っていたんじゃないかと、不安になる。
あたしはただ……千尋くんにも、瑞穂くんにも、熾音さんにも、梓さんにも。
いちばん幸せになってもらえる選択をしたのに……。
そんな顔、しないで千尋くん。
大好きだから……。
大好きなんだから……。
「……っバイバイ」
いてもたってもいられなくなったあたしは。
千尋くんに最後の別れを告げて、空き教室を飛び出した。