千尋くん、千尋くん
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「っは……っは……っは」
今までにないくらいの全速力で、とにかく千尋くんから離れた場所へと走る。
息が荒くなってきて、足の感覚も分からなくなる。
「ッあ……!」
そして、ちょっとした段差につまづいたあたしは、そのままド派手に地面へと倒れこんだ。
下はコンクリートで、ぶつけた鼻とおでこ。
擦りむいたっぽい膝が痛い。
だけど……何よりいちばんに、胸がギュウッと苦しい。