千尋くん、千尋くん
人目も気にせず、ただ子供のように泣きじゃくる。
昼間はぽかぽかしていた秋の風は、あたしに冷たく。
ひんやりと、スカートから出ている足を撫でていく。
上を向いて泣いているのに、涙のせいで星すら見えない。
あたしは、大切な大切な彼を。
自分から手放した。
いちばん傷つけちゃいけない人を、自ら傷つけた。
バカだし、最低なんだって……分かってる。
だけどあたしには。
これ以外の方法が分からなかったんだ。
千尋くんとお別れした
高1の秋の夕刻。