千尋くん、千尋くん
たったこの前までは、休みの日にこの部屋に千尋くんがいることは、ごくごく当たり前の光景だった。
カラーボックスの上にある、千尋くんとの写真が入った写真立てはまだ片付けていないし。
携帯の裏のプリクラも、まだ剥がしてなかったっけ。
きっとリビングに降りたら、千尋くんと一緒にキッチンに立ったことを思い出す。
千尋くんとのことを、喜んで応援してくれていたママには、まだ別れたことは伝えられてないし……。
………本当、バカ。
あの宝物であるネックレスを返したくらいで、てっきりあたしなりのケジメはつけたつもりでいたんだもん。
自分から振ったくせに……。
散々彼を傷つけたくせに……。
バカみたいに未練たらたらだ……あたし。