千尋くん、千尋くん
「な、なんで……」
てっきりヒメちゃん1人だと思っていたあたしは、驚きを隠せないまま尋ねた。
「話、あるみたいよ。あたしがここに来たら、中に入りづらかったのか知らないけど、家の前でウロウロしてたからさ。最初近所の子かと思ったんだけど、顔見たらなんとなく察しがついて」
「べっ、別にウロウロなんてしてねぇ! たまたま通りかかっただけだ」
「でもあるんでしょ、話」
「………」
ヒメちゃんの問いかけに、瑞穂くんは少しだけ唇を尖らせて俯いた。
あたしに話があるってことは、すでに千尋くんから別れたことを聞いたってことだろう。