千尋くん、千尋くん
「ずっと自分だけを加害者だと思ってないでさ……気づけよ、自分も被害者だって。あるみも兄ちゃんと同じだけ、傷付いてんだよ……」
「……ううん、あたしは加害者だよ」
「あるみだけが、そんなに自分を責めんなよ」
「瑞穂くん……」
「ごめん……ごめんな、あるみ」
ギュッとテーブルの上で握られた瑞穂くんの拳が、微かに震える。
あたし知ってるよ……知ってるから。
本当は、瑞穂くんだって辛いんだってこと。
それなのに、あたしのことを考えてくれて、今日家まで会いに来てくれたこと。
ちゃんと、分かってるから……。