千尋くん、千尋くん
「俺がまだガキだから……兄ちゃんやあるみにも、迷惑かけて」
「瑞穂くん……迷惑、なんて思ってないから」
「俺、あるみが好きだ。今まで遊んできた好きとは違う。本気の好き」
「うん……」
「だから……だからこそ、迷惑なんて、情けなんてかけたくなかったのに」
「うん……」
俯いてそう言った瑞穂くんに、あたしはゆっくり頷いた。
いつもは生意気で、意地悪してばっかりな瑞穂くん。
だけどやっぱり、宇治橋家の3兄弟はみんな優しくて。
みんな暖かい。
だからこそ、そんな瑞穂くんだからこそ……あたしはこの決断が出来たんだよ。