千尋くん、千尋くん







お茶を淹れたグラス2つをおぼんに乗せて、リビングから出る。




カラカラとグラスの中の氷がぶつかり合って、綺麗な音が出ていた。






……ヒメちゃんにも、何で別れたの? とか質問責めされそうだな。



だって、親友のヒメちゃんにすら相談したりしなかったし。





聞かれて当然だよね。





階段を昇りながら、ヒメちゃんにはなんて説明をしようか考える。






相談はしなかったけど、頼れなかったわけじゃない。



迷惑をかけたくなかったから。




本当のことをいったら、きっとヒメちゃんは自分を大切にしろって言ってくれたと思うから。



でも、あたしにはそれができなくて……。





できれば、誰にも本当のことは知られずに、自分1人抱え込むつもりだった。




だから……やっぱり、親友のヒメちゃんにも、本当のことは言えないのかもしれない。






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