千尋くん、千尋くん
ガチャリ、ドアノブをひねって中に入ると、ベッドの上でヒメちゃんがカチコチと携帯を弄っていた。
「ごめんねー、気使ってもらって」
「うん、謝ってる態度には見えないよね……」
「あはは、それもそうか」
よいしょっと起き上がったヒメちゃんは、テーブルの上に閉じた携帯を置くと、何やら鞄をあさり始めた。
その様子を不思議に見ながら、お茶の乗ったおぼんをテーブルに置く。
「あ、あったあった。ジャーン」
「……お菓子……?」
しばらくしてヒメちゃんが鞄から取り出したのは、コンビニの袋に入った大量のお菓子だった。