千尋くん、千尋くん
お詫びはキスで
時刻は昼休み、図書室である。
「……寂しい」
誰もいない図書室で、ポツリとそう呟いてみるが、返事が返ってくることもなく消えてしまった。
いや、誰もいないのに返事が返ってきたら、それはそれで怖い。
あたしは、はぁ、と意味もなくため息をして、カウンターに突っ伏す。
「……千尋くん」
寂しくなると、無意識に彼の名前を呼んでしまう、悪い癖。