千尋くん、千尋くん
こんな日くらい、お日さまを見せてくれたっていいじゃん。
雨を見てると、思い出すのは。
傘の忘れたあたしを玄関で待っていてくれた、初めての記念日。
何も言わずに、いつも以上にあたしを甘やかしてくれた千尋くん。
自分でめんどくさいから記念日を覚えるのは嫌だって言ってたくせに、あたしのためにたくさんの幸せをくれた。
トリプルはこぼすからって却下されちゃったけど、ダブルのアイスクリームを買ってくれたり。
一緒にプリクラを撮ってくれたり。
…………おそろいのネックレスを、くれたり。
あたしにとって何より幸せだった日。