千尋くん、千尋くん






衝撃の事実。




瑞穂くんの言葉にあれだけ悩んだというのに、それがでっちあげた嘘だったということが発覚した。







……騙された自分が悔しい。






だけど……。










「……良かった。……っ良かったよ、嘘で」






それ以上に、安心している自分がいる。







「何言われたの。そんな泣くほどのこと?」





「……千尋くんに、新しい彼女ができたって」




「それがキャサリン?」




「だっ、だから……嫌で。千尋くんがあたし以外の子に好きって言ってたら、い…嫌だなって……っ」






千尋くんの質問に答えながらも、涙は止まらなくて。



子供みたいにひっくひっくと嗚咽を漏らしながら、袖で涙を拭う。






いつの間にかあたしの目の前にいた千尋くんが、しゃがんでへたりこんでいるあたしに目線を合わせてくれる。

















< 385 / 397 >

この作品をシェア

pagetop