千尋くん、千尋くん
衝撃の事実。
瑞穂くんの言葉にあれだけ悩んだというのに、それがでっちあげた嘘だったということが発覚した。
……騙された自分が悔しい。
だけど……。
「……良かった。……っ良かったよ、嘘で」
それ以上に、安心している自分がいる。
「何言われたの。そんな泣くほどのこと?」
「……千尋くんに、新しい彼女ができたって」
「それがキャサリン?」
「だっ、だから……嫌で。千尋くんがあたし以外の子に好きって言ってたら、い…嫌だなって……っ」
千尋くんの質問に答えながらも、涙は止まらなくて。
子供みたいにひっくひっくと嗚咽を漏らしながら、袖で涙を拭う。
いつの間にかあたしの目の前にいた千尋くんが、しゃがんでへたりこんでいるあたしに目線を合わせてくれる。