千尋くん、千尋くん
「い、いじわる言ってごめんね。あと……帰らないで」
負けてしまうあたし。
あれ、自分で言っておいてだけど、あたしいじわるなんて言ったっけ……。
「分かればいいんだよ、ったく。じゃあ俺寝るから」
と言った千尋くんは、足元の布団を引き寄せると、そのまま壁側を向いて寝てしまった。
あれ、さっきあたしに会いたかったとか言わなかった?
ていうか、あたしをベッドの上からミニソファーに退かしたのあなたでしょう。
自分はのうのうとふかふかのベッドで寝やがって……。
こうなったら寝てる間に顔に落書きしちゃうぞ。
後でどうなるかは置いといて、衝動的に机の上のマジックペンを掴んで、ベッドに近づくあたし。