千尋くん、千尋くん







「ん〜………」




その時、壁側を向いていた千尋くんが寝返りをうって、こっちに顔が向く。





ドキッ。






一気に近くなった千尋くんとの距離に、不覚にもドキドキしてしまう。





サラサラの黒髪に、その隙間から時折見える右耳の青いピアス。



いたずらっ子のような、ひねくれたような顔つきだけど、その整った顔立ちは誰もが認めるほどカッコいい。







いつもは少しつり上がった印象の目が、今は閉じられていて、結構まつげが長いんだということを知る。





くそぅ……こんなカッコいい顔じゃ、なんか落書きするのがもったいない。









「落書きするんじゃないの?」





なんだか照れてしまい、うつむいていると、いつの間にか目を開けた千尋くんが口角を上げながらこちらを見ていた。









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