千尋くん、千尋くん
一之瀬くん(千尋くんの友達らしいが、顔はよく知らない)にもらったらしい地図のメモを見ながら、あまり通ったことのない道を歩いていく千尋くん。
強制的にバイトのスケットのスケットをすることになったっぽいが、一体どんな仕事をするのだろうか。
千尋くんの後ろをついていきながら周りを見渡せば、ちょっとここらへんでは珍しい昭和っぽい雰囲気。
「こんなとこ、あったんだ……」
「オレらの家と逆方向だもんな」
「いいね、こういう懐かしいっぽい感じ」
そんな会話をしながらも、あっちの角を曲がったり、こっちの坂を登ったり。
「ここだ」
しばらくして、立ち止まった千尋くんがそう言ったので、顔を上げると。
「………お風呂?」
そこには「弥生銭湯」と書かれている古い看板があった。