千尋くん、千尋くん
外からの見た目だけでもかなりボロボロだ。
あちこちのトタンが剥がれていたり、穴が開いていたり、それだけでものすごい歴史を感じる。
「営業、してるのかな」
「営業は5時から。それまでに風呂掃除して、お湯張るの」
「えっ、バイトの内容ってそれ?」
「うん」
うわぁ、結構大変そうだな……。
千尋くん大丈夫なのかな……じゃなくて、あたしも一緒にやるんだった。
「行くか」
「ぅ、うん」
まだ状況はいまいち飲み込めてないが、とりあえず千尋くんの後ろをついていくことにする。