千尋くん、千尋くん
「それにしても、まぁ。いっちゃんもなかなかの男前だけど、あなたもかなりの男前だねぇ。今の高校生って、みんなこんなに「いけめん」なのかしらねぇ」
千尋くんを見て、うふふと笑うおばあちゃん。
あれ、さっき横文字弱いとか言ってたのに、ちゃっかり「イケメン」とか使っちゃってるよ。
まぁ、でも千尋くんがイケメンなのは事実だからなぁ。
「そんでこっちの娘はえらいべっぴんさんでぇ。本当に羨ましいねぇ」
あたしを見て、そう言ったおばあちゃん。
「い、いえ。そんなべっぴんさんだなんで……」
慌てて顔の前で手をパタパタさせるけど……ちょっぴり嬉しい……なんて。
「社交辞令だぞ。本気に受け止めるなよ」
「………」
小さな声でそう耳打ちした千尋くん。
うん、ちょっと泣きそう。