千尋くん、千尋くん







「見ての通りうちはこんな古い銭湯だから、お客さんなんて近所のお年寄りくらいしか来ないんだけどねぇ。それでも、長年ひいきにしてくれてる人達もいるわけだから、こうしてボロボロになっても営業してるのよ」




きっと、商売繁盛とか関係なく、その人たちのためにこの銭湯をおばあちゃんは続けてきたんだろうな。




そう思うと、少し泣きそうになってきて。






「おばあちゃんっ、あたし一生懸命掃除するからね!」




思わずおばあちゃんのしわしわの手を握って、頑張ることを決意する。






「本当に、いっちゃんの友達がこんなにいい子達ですごく嬉しいわ。おじいさんにも、あなたたちを会わせてあげたかった」





「おじいさん……亡くなられたんですか?」








「いいえ、今日はお友達とゲートボール大会に」








「………」








うん、おじいちゃん元気で良かったよ……。




隣でまた、千尋くんがクスクス笑っている声がした。







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