千尋くん、千尋くん
まだ開会式の準備中らしく、ジャージ姿の生徒がおしゃべりしたり、歩き回ったりしている。
いわゆるちょっとした自由時間っぽい。
「あ………」
特にすることもないので、このまま開会式が始まるまでボーッとしてようとしたあたしだけど。
「どしたー?」
「あ、あの……ちょっと行ってきていい?」
「いいよー。開会式までには帰ってきてね」
「うんっ」
見つけてしまった。
少し後ろの木陰で、寝転がっている彼の姿を。