千尋くん、千尋くん
「あるみは何の競技に出るの?」
「えっとね、アメ食い競争!」
「だと思った」
「むむっ……」
千尋くんが優しく笑う。
そんな顔されたら怒れないじゃないか。
「千尋くんは? 何に出るの?」
よく考えたら、ちゃんと運動している千尋くんって見たことない。
体育は一緒の体育館でやってるけど、自分のプレーに精一杯で千尋くんのプレー見れなかったし。
でも今日は、ゆっくり見れるんだ。
「オレは何も出ないよ」
「………」
「あるみ?」
「……っえ!? 出ないの!?」
「反応遅いでしょ」