千尋くん、千尋くん
「ちなみに一之瀬は、最後のリレーに出るってはりきってたよ」
失礼だけど、正直一之瀬くんの情報はどうでもいいんだよ千尋くん。
というか、いまだに一之瀬くんの顔を見たことがないのだが。
あれ、話がずれてる。
「ハチマキずれてる」
「え、話がじゃなくて?」
「は?」
「ぇあっ……こっちの話です」
すっと伸びた千尋くんの手が、あたしのずれてるらしいハチマキをなおしてくれる。
ちなみにうちの学校の体育大会は、学年ごとのクラス対抗であるため、クラスごとにハチマキの色が違う。
あたしは1組だから赤のハチマキ。
千尋くんは3組だから青のハチマキだ。
その他は、確か2組が黄色で、4組が緑だった気がする。