私と彼の恋愛事情
「ただいま帰りましたー」

なんて声が階段下から聞こえてくる。

…神崎君だ。

「ちょっと、帰ってきちゃったじゃない!」

少し控えめなゆなの声が聞こえた瞬間部屋のドアがノックされた。

「は、はーい」

「俺だけど」

どちらの"俺"様ですか?

なんていってる場合じゃなくて、とりあえず返事よ!

「あ、どうぞ」

ドアを開けるとゆなを見て一瞬神崎君の動きが止まった。

「……お前のお母さんから勉強教えてやってくれって頼まれたんだけど。友達いるならいいや」

なんですと?!

思わずゆなとアイコンタクトをとる。

これはチャンスとして受け取っていいのか?

勉強教えてもらっていいのか?

ゆなを見ると力強く頷かれた。

「あの、今からでも教えてくれないかな?勉強」

「でも友達いるじゃん」

「ゆなはもう帰るんで気にしないで下さい♪じゃあお邪魔しましたー」

手を振りながら部屋を出ていったゆな。

気を使ってくれたんだね。

ありがとう。

「じゃ、始める?」

「よろしくお願いします」

こうして私達の勉強会が始まった。




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