私と彼の恋愛事情

同居人

「華那起きなさーい!!」

お母さんの声で目が覚める。

ベッドから起き上がり階段を降りると朝ごはんの良い香りが鼻を掠めた。

「お母さーん。目玉焼き作って~」

椅子に座り、あくびをする。

まぁ、いつもと変わらない朝だ。

でも1つだけ違うのは……

「…よく好きなやつにそんな格好見せれるな」

神崎君が目の前に座っているということだ。

「あ…おはよう」

「今さらおしとやかにしたって無駄だ」

私のおしとやかに挨拶作戦も失敗に終わり、朝ごはんを食べ始める。

私はなにげに幸せ者なんだろうか。

好きな人が朝ごはんを食べている光景を間近で見られるなんて。

なんだか得した気分だな。

「あー、おはよう」

幸せな気分に浸っているとお父さんが降りてきて神崎君の横に座った。

この二人。

昨日の晩ご飯の時に意気投合したみたいで、かなり仲良くなったみたいだった。

「おはようございます」

「なんだ恭弥君は寝起きでもイケメンなのか」

「そんなことないですよ」

でしょでしょ。

本人は謙遜してるけど、黒髪に高い背にシャープな目元。

寝起きだって神崎君はカッコいいんだから。

なんたって私が惚れた人だもん。

なぜか自慢気な私は卵焼きを1つ頬ばった。

「その卵焼きね、恭弥君が作ってくれたのよ。おいしいでしょ?」

「え、うそ!!」

「本当だよ。誰かさんは起きてこないもんなー」

わざとらしく私をチラ見する神崎君に何も言えなくなる。

じゃあ、あなた寝起きじゃないのね…。

よし、明日は寝起きの神崎君を見るために早起きするもんね!

固く決意をして制服を着てカバンを片手に家を出た。





「おい、待てよ」

しばらく歩いたところで引き寄せられるように誰かに肩を捕まれた。

「あ、神崎君」

後ろを向くと自転車を片手に私の肩に手を置く神崎君。

なんかそれだけでもドキドキする。

「俺ここからの道わからないんだよな。教えてよ」

「そうだったんだ。じゃあ一緒に行こ」

「ちょっと」

再び歩き出そうとする私を手招きで呼び寄せた。

「自転車で行くぞ。はい、前乗って」

あ、まぢですか。

女子が漕ぐパターンね。

「急げよー」

後ろに跨がり偉そうに指図する神崎君を横目にこれも惚れさせるためだと言い聞かせ、
学校までの道のりを急いだ。


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