マジ青い空
「フン、残念だったわね。飛ばしたのは私じゃないわよ!」


そう言って胸を張る私に、この口の悪い男が更に追い打ちをかける。



「オマエがコレを打ち返してやれば、ここまで飛んでくることは無かっただろ。自分の未熟さを棚に上げてんじゃねーよ」



な、な、な・・・・・・・



「なぁ~~~んですってぇ?!」

「ほら、ちょっと貸してみろ」


怒りで我を忘れかけていると、その男が近寄ってきて、私の持ってるラケットを奪い取る。


「いいか、手首や肘の先だけで振るからちゃんとしたレシーブにならないんだ。こうやって・・・」




シュカッ!




まるで、そうやって飛ぶのが当たり前のように。
男が振ったラケットから飛び立ったハネは、綺麗な軌跡を描いて空を舞う。




「わぁっ・・・・す、すごい」

「な? ちゃんと飛ぶだろ? バドなんて、コツさえ掴めばある程度はすぐ上手くなるんだよ」



男が、さっきより更に幼く見える笑顔を私に向ける。
その顔が余りにカワイくて見とれていると、“んじゃな”って言って走り去っていってしまった。
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