雫。
担任の先生は、若くて優しそうな人だった。
怖い先生じゃなくてよかった…。
知らないうちに、自己紹介があたしの番になっていた。
「えっと、木崎菜綉です。出身はN中学です、よろしくお願いします。」
何となく暗い印象になってしまいそうだったが、人前で話すのが苦手なので軽くすませてしまった。次は絵堵くんの番。
『えーっと、桐島絵堵です。出身は名古屋のS中
だったんですが、親の都合で東京に引っ越してきました。まだ知らないことがたくさんあるのでいろいろと教えてください!』
絵堵くん、名古屋から来たのか。でも朝、友達といなかったっけ…?
まぁいっか、気にしないでおこう。
その日1日は友達をつくる勇気もでず、話しかけられることもなく終わってしまった。
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