レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
………泣いてなんかない。
脂汗が滲んで、背中にべっとり張り付いて気持ち悪い。
だけど、泣いてなんかない。
「…泣いて、ないよ…?」
俺が自分を納得させるように呟くと、泉が目を細めながらはっきりと切り返した。
「泣い、てる、よ…?
伊織、目、泣いてる」
ハッとして、頬に手を伸ばすが濡れた感触はない。
俺はやはり泣いてなんかいなかった。
なのに、どうしてそんなこと言うの?
「……伊織…、す、き」
泉が体を起こして、俺に抱きつく。
いや、しがみついたが正しい。
そのまま、意識を手放した泉は規則正しい呼吸音を俺の耳元でさせた。
……ああ。
安心する。
泉の体温は。
俺を酷く安心させる。
だけど。
脂汗が滲んで、背中にべっとり張り付いて気持ち悪い。
だけど、泣いてなんかない。
「…泣いて、ないよ…?」
俺が自分を納得させるように呟くと、泉が目を細めながらはっきりと切り返した。
「泣い、てる、よ…?
伊織、目、泣いてる」
ハッとして、頬に手を伸ばすが濡れた感触はない。
俺はやはり泣いてなんかいなかった。
なのに、どうしてそんなこと言うの?
「……伊織…、す、き」
泉が体を起こして、俺に抱きつく。
いや、しがみついたが正しい。
そのまま、意識を手放した泉は規則正しい呼吸音を俺の耳元でさせた。
……ああ。
安心する。
泉の体温は。
俺を酷く安心させる。
だけど。