レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
俳優にでもなったつもりで俺は毎日囁く。
由宇は疑うことなく。
トロンとした瞳で俺を見つめると、俺を欲した。
「おはようございます」
「ん、おはよ」
翌日。
いつも通り事務所に入ると、店長がタバコを吸いながら携帯を開いていた。
「あー伊織」
着替えをしながら店長の方を見ると、こちらを見ずに続ける。
「最近、麗奈も伊織のこと聞いてくんだわ」
「はあ」
ジーンズからスーツに身を包みながら俺も続ける。
目を見ないでの会話。
「それでな、優と揉めてんだよ」
“優”、由宇のことだ。
名前は気に入ってるけど、漢字はこっちが好きなんだ。
由宇は二人でいる時そう言っていた。
「麗奈のこともうまくやってくれよ」
「…わかりました」
「んーよろしく」
俺は、キャバクラと言うものを知らなかったし。
ここが全てだったから。
風紀も何も疑うことなく。
ただ黙って、その任務を全うするだけ。
由宇は疑うことなく。
トロンとした瞳で俺を見つめると、俺を欲した。
「おはようございます」
「ん、おはよ」
翌日。
いつも通り事務所に入ると、店長がタバコを吸いながら携帯を開いていた。
「あー伊織」
着替えをしながら店長の方を見ると、こちらを見ずに続ける。
「最近、麗奈も伊織のこと聞いてくんだわ」
「はあ」
ジーンズからスーツに身を包みながら俺も続ける。
目を見ないでの会話。
「それでな、優と揉めてんだよ」
“優”、由宇のことだ。
名前は気に入ってるけど、漢字はこっちが好きなんだ。
由宇は二人でいる時そう言っていた。
「麗奈のこともうまくやってくれよ」
「…わかりました」
「んーよろしく」
俺は、キャバクラと言うものを知らなかったし。
ここが全てだったから。
風紀も何も疑うことなく。
ただ黙って、その任務を全うするだけ。