レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
だけど。
どうして今更こんな写真。

「………しっかり、聞いてね」


「……?」

その意味がわからなくて、鈴恵さんを見ると鈴恵さんは悲痛な顔で俺を見つめる。


「………伊織のお母さんが、貴方を引き取りたいと言って来たのよ」


「………え?」

目の前が真っ暗になった。
引き取りたい………?

「…昔から定期的に連絡はしていたし、来ていたの。
だけど、橘さんのとこに引き取られてからは連絡が来なくなってねえ…。
伊織がここに来てから、連絡したらまた連絡が来るようになって…」


「………それで、引き取りたいと?」


「………ええ」


「……ふざけるな!!」

鈴恵さんに怒鳴るのは、お門違いだって頭ではわかってるのに止まらない。

「この女が俺を捨てた所為で、俺は、俺はっ!!!」


…受けなくてもいい傷を受けて。
ただただ、優しかった俺を育てくれていた人を罵倒した。

全て。
全て。

捨てられた。

これが原因。
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