レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
14年の溝をゆっくり、ゆっくりと埋めていくんだ。


「はい、出来た!」


「え?もう?」


「ふふ、早いでしょ?」


「うん、早い」


コトンと、俺の目の前に置かれたお皿。
それに綺麗に盛り付けされた玉子サンド。


「いただきまーす」

一口、頬張った。


「………」


「……どう?」


何も言わない俺を母親は不安そうに見つめる。


「…………んまいっ!」


「本当っ!!?」


ぱああっと花が咲いたように笑顔を見せた母親は、少し頬を染めていた。


「うん、本当おいしい」

俺はペロッと玉子サンドを平らげた。

母親は満足そうに空いたお皿を片付けていた。



「ねえ、俺の父さんって何してんの?」


何気なしに尋ねたつもりだったけど、母親は急に顔を強ばらせて真一文字に口を結んだ。


「…………どうしたの?」



何か。
まずかったのだろうか。


もしかして…もう、死んでるのかな。

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