レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
母親は、真っ直ぐその男の前に立つとはっきりと
「お金はありません」
そう言った。
「あんだろ、少しぐらい」
「ないです」
「なんだと?!」
酔ってるのか、顔を赤くしたそいつは依然として顔を縦に振らない母親に怒鳴り近付きだした。
母親が殴られる!
そう、直感的に感じるより先に体が動いていた。
「なんだ、てめえ」
ひっくと、小さくしゃっくりしながら母親の前に立ちはだかった俺を睨み付けた。
「………」
同じように睨み付けた俺の胸ぐらを掴んで、そいつは続ける。
「ついに、男まで出来たか?ああ?」
「な、何言ってるの?!
この子は、この子はっ伊織です!!」
「…………何?」
その言葉に、目を大きく見開いて俺と母親の顔を交互に見た。
俺の顔に母親の面影を見たのかもしれない。
そいつはぐっと胸ぐらを引っ張って、自分に引き寄せると気持ち悪くにやりと笑った。
「確かに、似てるな。
お前、今何歳だ」
「……14」
「なんだ、まだそんなか。
金稼げねえのに連れてきやがって。
嫌でも売り上げ悪い店なのに」
その言葉が俺の逆鱗に触れるにはぴったりだった。
「お金はありません」
そう言った。
「あんだろ、少しぐらい」
「ないです」
「なんだと?!」
酔ってるのか、顔を赤くしたそいつは依然として顔を縦に振らない母親に怒鳴り近付きだした。
母親が殴られる!
そう、直感的に感じるより先に体が動いていた。
「なんだ、てめえ」
ひっくと、小さくしゃっくりしながら母親の前に立ちはだかった俺を睨み付けた。
「………」
同じように睨み付けた俺の胸ぐらを掴んで、そいつは続ける。
「ついに、男まで出来たか?ああ?」
「な、何言ってるの?!
この子は、この子はっ伊織です!!」
「…………何?」
その言葉に、目を大きく見開いて俺と母親の顔を交互に見た。
俺の顔に母親の面影を見たのかもしれない。
そいつはぐっと胸ぐらを引っ張って、自分に引き寄せると気持ち悪くにやりと笑った。
「確かに、似てるな。
お前、今何歳だ」
「……14」
「なんだ、まだそんなか。
金稼げねえのに連れてきやがって。
嫌でも売り上げ悪い店なのに」
その言葉が俺の逆鱗に触れるにはぴったりだった。