レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
泊まればいいのに、そう言った美佳を宥めて俺は家に帰った。
玄関を開けた瞬間。
母親が俺の名前を呼んで、走り寄ってきた。
「伊織!!!」
既に23時を過ぎてる。
いつもなら寝ている時間。
少し、疲れた顔を見せている母親は強く強く俺の体を抱き締めた。
「もう、いきなりいなくなって…」
「……………」
不思議と。
今朝まで感じていたどろどろしていた黒い気持ちが出なくって。
素直に。
「…ごめん」
そうやって俺を抱き締めている母親に謝った。
「無事なら、いいの。
お腹は?空いてない?
コーヒーでも飲む?」
背中を擦りながら、母親は俺の顔を覗き込む。
ふっと、口角を上げて微笑むと俺は首を横に振った。
「いらないよ。もう、寝よう?」
「大丈夫?いらない?」
「うん、大丈夫。
紀子さんも眠いでしょ」
「母さんは大丈夫よ?」
「やだやだ、寝よう?」
「わかった、わかった。
そこまで言うなら寝よっか」
少し、不満そうな母親の背中を押して階段まで進んだ。
玄関を開けた瞬間。
母親が俺の名前を呼んで、走り寄ってきた。
「伊織!!!」
既に23時を過ぎてる。
いつもなら寝ている時間。
少し、疲れた顔を見せている母親は強く強く俺の体を抱き締めた。
「もう、いきなりいなくなって…」
「……………」
不思議と。
今朝まで感じていたどろどろしていた黒い気持ちが出なくって。
素直に。
「…ごめん」
そうやって俺を抱き締めている母親に謝った。
「無事なら、いいの。
お腹は?空いてない?
コーヒーでも飲む?」
背中を擦りながら、母親は俺の顔を覗き込む。
ふっと、口角を上げて微笑むと俺は首を横に振った。
「いらないよ。もう、寝よう?」
「大丈夫?いらない?」
「うん、大丈夫。
紀子さんも眠いでしょ」
「母さんは大丈夫よ?」
「やだやだ、寝よう?」
「わかった、わかった。
そこまで言うなら寝よっか」
少し、不満そうな母親の背中を押して階段まで進んだ。