レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
ぽたぽた零れ落ちる涙を拭おうと、俺に手を伸ばすけど。
もう、腕を上げる力すらないのか、母さんはその腕を床に落とした。
「………い、お、り」
母さんも泣いていた。
最期の最期に最愛の夫に見放されて。
絶望したかい?
少しは後悔したかい?
もう、言葉を紡げなくなったその体を抱き締めて。
熱がなく、冷たくなってきたその体を。
優しく笑うことがもうない、その体を。
強く、強く。
抱き締めた。
何で。
こうなったのか。
ただ、俺は笑っていたかっただけなのに。
俺が誰かを愛そうと、誰かを求めようと。
そう、思う度に。
離れてゆく。
“いらない”
美咲さんの言葉が俺の頭の中をリフレインする。
「………かあ…、さん」
もう、腕を上げる力すらないのか、母さんはその腕を床に落とした。
「………い、お、り」
母さんも泣いていた。
最期の最期に最愛の夫に見放されて。
絶望したかい?
少しは後悔したかい?
もう、言葉を紡げなくなったその体を抱き締めて。
熱がなく、冷たくなってきたその体を。
優しく笑うことがもうない、その体を。
強く、強く。
抱き締めた。
何で。
こうなったのか。
ただ、俺は笑っていたかっただけなのに。
俺が誰かを愛そうと、誰かを求めようと。
そう、思う度に。
離れてゆく。
“いらない”
美咲さんの言葉が俺の頭の中をリフレインする。
「………かあ…、さん」