レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
「………会えない」
そう、ぽつりと独り言のように呟く。
私。
こんな気持ちのままじゃ伊織に会えない。
会ったって、伊織は信じてくれない。
伊織は、誰も信用してないように見えたから。
そんな彼に、上辺だけの愛を与えたって不安にさせるだけだ。
いくら、頭の中が伊織で一杯だとしても伝わらなきゃ意味がない。
伊織に信じてもらうには、私が信じないとダメなのに。
「ありがとう…和、順二」
そう、言ってから晴れやかな笑顔を二人に見せる。
心から、そう思った。
伊織が消えたこの日に、二人がいてくれて本当によかった。
一人だったら、何をしてたか分からない。
そのぐらい、落ちることはわかってた。
これからどうするかは決めた。
伊織を探すけど…その前に。
伊織とまた会っても、絶対揺らぐことがないように気持ちを固める。
私は伊織を好きだと。
伊織に、全て伝わるように。