レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
また、出た。
もう何回聞いたかな、この台詞。


「買えばいいじゃん」


「まーそうなんだけどねー。最近不景気だからさあ」


「何?売り上げよくないの?」


「こっちは中々微妙だよ?在籍多いしね」


「まあね、だけど美佳いつも上位にいるじゃん」


「そうなんだけどさーやっぱり新規は年下なんだよねぇー」


「………ああ」


納得して頷いた俺に隣から容赦なく拳骨がお見舞いされた。


「伊織、まだ若いもんなあ…畜生ー」


「初めて会った時まだ15だったしね」


「そーそー、いくら?とか言ってさー初めての癖して。金額えらい安いし」


「うっせーな、知らなかったんだよ。てか、中坊が知るかよ」


「あはは、とんだ不良中学生よねー!」


「…………」

ムスっとして、俺がそっぽ向くと美佳はまだ笑いながら。



「まーでも、父親があんなじゃしゃーないか」

そうやって、半ば独り言のように呟いた。


「いつか、刺されるな。俺」

嘲笑しながら、そう言うと美佳も間違いないね、と賛同しながら笑った。
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