レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
今目の前にいる二人が。


“本物”か


“偽物”か。



私にはわかるわけがなかった。




だって。

こんな疑いをかけるのはレンタル彼氏の一覧に載ってる伊織を見たからであって。


その一覧を見てなければ、ただの恋人同士なんだと疑いもかけずに、伊織が私を見てないように私も見ないんだと思う。


かっこいいな、なんて少し思うかもしれないけど。
それまでだ。



二時間。


あっという間だったような、物凄く長かったような。

奇妙な感覚に捕らわれながら、私は伊織と女の後をさりげなく追いかけた。



横顔だけ見ると、女の顔はとても整っていた。

誰もが羨むような美男美女カップルで。



これはやっぱり恋人同士なんだと、疑いの気持ちをしまい込もうとした。

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