レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
全く深入りする気はねえけど。


コンビニへと途中立ち寄って、俺は軽食と液キャベを購入した。
きっと伊織、朝飲むだろ。
お人好しだな、俺。

それからすぐに寮に到着して、駐車場に止めると俺は寮へと入った。


伊織の部屋に入って、ベッド脇に車のキーを置く。
伊織はぐっすりとさっき放り投げた格好のまま眠っている。


小さく溜め息をつきながら、俺は寝室から出ようとした。



が。

「…………み」


ん?
何か、言った?



立ち止まり振り向く。


また、ぽつりと。


「……泉」




…………また、泉?


気になって、少し、伊織に近付くと。




「………会いたい」


そう、言いながら伊織は涙を流していた。
それを見てドキッとする。



泉?
会いたい?


…………まじで彼女か。


わけあり?
…………あー、聞かなければよかったか。


バツが悪くなった俺は、伊織の部屋を後にした。
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