レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
それからまた考え込んで、意を決してあのことを口にした。
「…泉ってお前の女?」
「はっ?何で泉のこと知ってんの?」
眉間に皺を寄せながら、伊織が言う。
そりゃそうだ。
俺達、レンタル彼氏はプライベートなことを話さない。
あの、聖でさえも。
「……昨日、キー置きに来たら泉ってずっと呟いてっから」
伊織は明らかに動揺しながら、俺の問いに答えた。
「ま、まさかー、間違いだわ間違い」
「それならいーけど…お前泣いてたぞ」
「え?」
その一言で伊織の顔が硬直する。
「それだけ言いたかったから、それじゃあ」
“会いたい”
そう、泣きながら呟いてたことはどうしても言えなかった。
……何故か、言ってはいけない気がしたから。
俺が扉を閉める時、後ろをちらっと見たが伊織は固まったまま、立ち尽くしていた。
……………大事な、女なんだな。
きっと。
彼女ではないのかもしれない。
「…泉ってお前の女?」
「はっ?何で泉のこと知ってんの?」
眉間に皺を寄せながら、伊織が言う。
そりゃそうだ。
俺達、レンタル彼氏はプライベートなことを話さない。
あの、聖でさえも。
「……昨日、キー置きに来たら泉ってずっと呟いてっから」
伊織は明らかに動揺しながら、俺の問いに答えた。
「ま、まさかー、間違いだわ間違い」
「それならいーけど…お前泣いてたぞ」
「え?」
その一言で伊織の顔が硬直する。
「それだけ言いたかったから、それじゃあ」
“会いたい”
そう、泣きながら呟いてたことはどうしても言えなかった。
……何故か、言ってはいけない気がしたから。
俺が扉を閉める時、後ろをちらっと見たが伊織は固まったまま、立ち尽くしていた。
……………大事な、女なんだな。
きっと。
彼女ではないのかもしれない。