レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
「……はあ」
溜息をついてから僕は扉を開けた。
「失礼します」
ガチャリと音を立てながら、僕は中に足を踏み入れる。
「…おー佐々木」
ソファに深く腰掛ける伊織さん。
僕の方をちらっと見ると、にこりともせずそう言う。
「こんにちは、次のお客さんの資料です」
「……適当に置いといて」
――――……僕は彼が嫌いだ。
理由は色々あるけど。
「で?いつから」
「来週の月曜からです」
「…ふーん」
自分から聞いてきたくせにそんなに興味ないとことか。
僕より年下のくせに何でか偉そうなとことか。
大嫌いだ。
資料だけ渡すと、僕はそそくさと部屋を出て行った。
それから事務所に入る。