レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
「…救急車いらない」
「いや、でも」
「………いい」
「…………」
そんなわけにいくか。
だって、僕はお前らの世話係なんだ。
伊織さんの言葉を振りきって、僕は外へ飛び出した。
とりあえず何か食料だ。
資料を自分の部屋に置くと、僕はコンビニまで財布片手に走る。
コンビニに入ると、とりあえず元気になれそうなものを片っ端からカゴに入れて行った。
好みなんかわからない。
だから、バラエティ豊かに米から、パスタから、パンとか。
飲み物もお茶から、炭酸とか、果汁ジュースとか。
とにかく色々買って僕は伊織さんの部屋へと走った。
扉を乱暴に開けると、伊織さんはさっきと変わらずその場所にいた。
「伊織さん!」
僕が再度訪れた事に伊織さんは目を真ん丸にして驚いている。
それから、伊織さんはその食料を受け取ると薄く笑った。