レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
「……佐々木、もう平気」
「いや、何か口に入れた方が」
「大丈夫、平気」
「………わかりました」
「あ、さっきの資料でしょ?明日ちょうだい」
「…はい」
全然大丈夫じゃなさそうだ。
だけど、これ以上僕が言える事はない。
深入りする事はこの業界ではタブーだ。
知っていい事なんて一つもない。
それを知ってる僕は素直に従う。
部屋に戻ってから僕ははあっと溜息をついた。
何があったかはわからない。
だけど、やっぱり僕は伊織さんが嫌いだ。
ありがとうの言葉もない。
いや、期待していたわけではないけど。