レンタル彼氏 Ⅰ【完結】
至って本気だった私の台詞をまた馬鹿にするように嘲笑って伊織は私を見下すように見た。


「……そんなん一生かけても払えねーよ」


社会に出たことも、アルバイトすらしたこともない私は基本的な給料とかが全くわかっていなかった。


また軽く溜め息をつくと伊織は訊ねた。


「…将来何になりたいの?」


「記者!」


私が即答すると、伊織が黙ってしまった。

黙ってしまった伊織におずおずと問い掛ける。



「……伊織…さん?は、将来やりたいことあるんですか?」


「……将来、ね」


人生を諦めたかのように鼻で笑う伊織が、私はとても気になった。


「16って…若いな」


嫌味でもなく、純粋にそう言ってると思えるのは伊織が遠くを見ていたからかもしれない。



「伊織さんはいくつなんですか?」


「俺?…企業秘密」


企業秘密?

あ、そうか。
あのプロフィールには年齢は書いてなかった。

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