黄緑絵の具
その日の夜。
アキラから電話がかかってきて、飲み会に誘われた。
話したいことがあると言われたけど、それどころじゃない。
時間が経つにつれ、絵の具のことが気になって仕方がなかった。
“エロイズム·エン”
この言葉からはうまく色をイメージできない。
でもベリアルから渡されたこれを、開けてみる気にはなれなかった。
何度考えても、結論は“エロ”だ……
連想ゲームのように。
淫らな妄想が頭の中を飛び交う。
それこそ、この絵の具がピンクにしか思えないくらいに。
僕だって健全な男子だ。
Hな妄想だってするし、そんな気分にだってなることもある。
……。
絵の具のことばかり考えていても、どうにもならない。
『よし! 先に課題を片付けてしまおう!!』
僕は煩悩を振り払うように、水彩画に取りかかった。