黄緑絵の具
鮮やかな色彩。
目が覚めると昼過ぎ。
寝ずに絵を書き上げ、眠りに就いたのは朝方だった。
カーテンを開けると太陽が眩しい。
シャワーを浴びて、ぼんやりしたままキッチンへと向かう。
“ぐにっ”
何か踏んでしまった。
嫌な予感がする。
恐る恐る、足元を見ると。
ベリアルから貰ったエロイズムの絵の具が落ちていた。
『やっちゃった……』
思いっきり踏んだせいか、チューブは変形し蓋も取れそうになっている。
このままだといつ中身がもれ出すか分からない。
踏んだ僕が悪いのだが、勇気を出してパレットに中身を出した。
『あっ!』
チューブから出てきたのは、予想に反して鮮やかな黄緑色――
と、その黄緑色に染まった小人のような女の子だった。
『人!?』
だんだんとその女の子は大きくなり、普通の女の子と同じ位の大きさになった。
黄緑色の絵の具にまみれたその子は裸で。
僕を冷ややかに見ながらこう言った。
『シャワー借りるから』
絵の具は黄緑色だった。
かすれた絵の具の文字。
本来は
“yellowish green”
と書かれていたようだ。